壁No.050 愛が溢れている壁
愛が溢れている壁
僕の名前はケンタ。どこにでもいる小学生だ。うちの家族は、父、母、妹、祖父、祖母で構成されている。
小さい頃から、両親は共働きで忙しく、祖母が面倒を見てくれていた。そう、おばあちゃんっ子というやつだ。
祖母は、明るい性格で僕が落ち込んで帰ると歌ったり、踊ったりして笑わせてくれていた。小さい頃はそれが嬉しかったが、中学校に入ると恥ずかしいと思えて来てしまった。
ある日、友達と喧嘩した日に落ち込んで帰った。
その様子を見た祖母は『悩んだらアカン〜悩んだらアカン〜人生悩まず、これ舐め〜て』と言って金環のど飴をくれた。
僕は、それに腹を立てて金環のど飴を思いっきり投げ捨てた。
そして、次の日祖母はこの世を去った。
次の日、頭の中がパニックになり自分を責めた。
そして、昨日投げ捨てた金環のど飴の裏側を見るとメッセージが書かれていた。
"ケンちゃん、笑顔を忘れちゃダメよ"
涙が止まらなかった。祖母が自分を1番見てくれていたことも知っていた。素直になればよかった。
あの日のことは、今でも忘れていない。今は、人を笑顔にする仕事をしている。