壁No.059 旧な壁

旧な壁

僕は古いモノが好きだ。

新しいものを自分の色に染めた時に快感を得る。だから、なるべくモノを大切に使うことを心がけている。この前、膝の破れたジーンズを見かけた。味が出ているなーと見惚れていたら、実は、破れたデザインのタイツだった。裏切られた気分で、落ち込んでいると周りの人が僕を指差してクスクス笑っていた。

なぜなら、僕のズボンの穴が大きく空いていたのだ。みっともない、情けないという思いと、逆に味が出ていてかっこいいだろ？という思いがぶつかり合って、複雑な気持ちになった。

なんだろう、この旧な気持ちは。