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これでいい野田クラクションベベー

”日々の暮らしにメリット”をそんな気持ちで執筆しています。

壁No.077 東京の夜な壁

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東京の夜な壁
 
 東京に上京して10年になる。高校を卒業して大学に行くために上京してきた。
相変わらず、東京のネオンはまぶしい。僕には、田舎の電灯の明かりが丁度いい。僕が。東京を離れない理由は、簡単だ。バンドマンの夢を叶えるためだ。毎週居酒屋のバイトで生活費を稼いでいる。周りからは、『売れないから諦めろ』『◯◯さんって夢に向かって必死すぎる〜』『彼女とかいなそ〜』と言われ放題だ。自分でも、限界が近いということはわかっている。でも、認めたくなかった。
 今日は、路上ライブをしていた。そうすると、ある男の人に声を掛けられた『君の歌声いいね。今度うちの会社来てよ』と言われた。僕は、鳥肌が立った。
 そして、呼ばれた会社に行くとそこはコールセンターだった。君の声は、お客様に喜ばれるような声をしているから推薦したんだ。と言われた。悔しさと恥ずかしさでその場を逃げ出した。僕の10年間は何だったんだ?コールセンターで働くため?違う。人に歌を届けるためだ。心が折れそうになっている時に一本の電話が来た。
『たまには、帰っておいで。あんたの好きなかぼちゃの煮付け作ってあげるから』母からの電話だった。胸が熱くなり、気づいたら泣いていた。
 今は、武道館のステージに立っている。その理由は教えない。ただ、かぼちゃの煮付けを食べて意識が変わった。甘くて懐かしい母の味が心を優しく煮付けてくれたんだ。なんだか、今日のネオンは気持ちいな。
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